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2018年1月12日

株主平等の原則と属人的定め(会社法109条)

株主平等の原則と属人的定め(会社法109条)

株式会社は、原則として株主を株式の内容・数に応じて平等に扱わなければなりません(株主平等の原則、会社法109条1項)。しかし、非公開会社においては一定の事項について株主ごとに異なる取扱いを定款で定めることができます(会社法109条2項)。

ここでは株主平等の原則と属人的定めについて問題となる点をいくつか解説いたします。

1. 株主優待制度と株主平等の原則

株主優待制度を採用している会社については、株主の優待内容が持株数に比例せず、また優待の上限が設けられているケースが一般的です。しかし、かかる株主優待制度は社会通念上合理的な範囲であれば株主平等の原則に反しないと解されています。

裁判例上は特定の株主に基準を超えた株主優待券を交付することが違法な利益供与とされたものがありますが(高知地裁昭和62年9月30日判決)、これは株主優待制度が否定されたものではなく、株主優待制度の基準を超えた対応を行った点が違法と評価されたものだと考えられます。

なお、同様の問題点として、従業員持株制度において、従業員に株式取得の奨励金を支給することが株主平等の原則に反しないかが問題となります。この点に関しては、奨励金は、株主ではなく従業員の地位に基づいて支給されるものであるため株主平等の原則に反しないと解されています(福井地裁昭和60年3月29日判決)。

2. 買収防衛策と株主平等の原則

株主平等の原則に関しては、敵対的買収防衛策の可否が争われたブルドックソース事件判決(最高裁平成19年8月7日判決)が最も有名な判例と言えるでしょう。

最高裁は、差別的行使条件が付された新株予約権の無償割当てについて、(i)株主共同の利益が害されるような場合で、(ii)当該取扱いが衡平の理念に反し、相当性を欠くものでない限り、株主平等の原則の趣旨には反しないと判断しました。この判決は、株主共同の利益を守るために必要であり、かつ相当な措置であれば、差別的取扱いが許容される例外があることを認めていると言えます。

3. 非公開会社における属人的定めの利用

非公開会社においては、剰余金の配当、残余財産の分配、株主総会の議決権について、株主毎に異なる取扱いを行うことを定款で定めることができます。種類株式が株式に着目した取扱いであるのに対し、株主の個性に着目した取扱いであることから、属人的定めと言われています。

具体的にどのような取扱いが許容されるかは、解釈に委ねられた部分が多いと考えられますが、持株数に関わらず剰余金の配当・残余財産の分配を全株主同額とする、特定の株主の所有株式につき一株複数議決権を認める、一定数以上の持株につき議決権の上限制を設ける等が考えられます(江頭憲治郎「株式会社法(第7版)」168~169頁)。

種類株式では実現できない内容であっても、属人的定めを活用すれば実現できる柔軟性がある点がメリットです。どのような属人的定めが許容されるかについて、具体的な強行規定や株式会社の本質・公序良俗に反して株主の基本的な権利を奪うことは許されないと解されています。このことは、属人的定めを設ける定款変更決議が株主平等原則の趣旨に反して無効とされた裁判例(東京地裁立川支部平成25年9月25日判決)等に表れていると考えられます。

会社法109条
(株主の平等)
第百九条 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
3 前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第五編の規定を適用する。